輸入ビジネスを始める際に最も重要な要素の一つが「関税」です。関税の仕組みを理解せずに輸入を始めてしまうと、思わぬコストがかかり利益を圧迫する可能性があります。本記事では、輸入ビジネス初心者でも理解できるよう、関税の基本から計算方法、節税対策まで徹底解説します。
関税とは?輸入ビジネスにおける基本知識
関税の定義と目的
関税は、外国の商品が日本に輸入されるときに課される税金(国税)です。関税の目的は「日本国内の産業の保護」です。
関税は単なる税収確保の手段ではなく、国内産業を守るための重要な制度です。海外から低価格の商品が大量に輸入されると、価格競争の激化により国内の同業者が経営難に陥るリスクがあります。
関税と消費税の違い
多くの輸入ビジネス初心者が混同しがちなのが関税と消費税の関係です。
税金の種類 | 目的 | 課税タイミング |
---|---|---|
関税 | 国内産業の保護 | 輸入時のみ |
消費税 | 国内消費への課税 | 輸入時+国内販売時 |
関税が「国際貿易のための税」であるのに対して、消費税・付加価値税は「国内消費に対する税」と言えます。
個人輸入と商業輸入の関税の違い
個人輸入の場合
個人輸入では、以下の特例措置があります:
課税価格の計算方法 個人が個人的使用の目的で輸入する場合、関税の課税標準は「商品本体価格 × 60%」です。
免税措置 「商品本体価格 × 60%」が1万円以下、つまり商品代金や運賃の合計が1万6,666円までであれば、関税及び輸入消費税が免除されます。
商業輸入(一般輸入)の場合
その他の貨物の課税価格は、商品の価格に運送費および保険料を足した金額になります。これはCIF価格(Cost, Insurance, Freight)と呼ばれます。
輸入区分 | 課税価格の計算方法 | 免税条件 |
---|---|---|
個人輸入 | 商品価格 × 60% | 16,666円以下 |
商業輸入 | CIF価格(商品価格+運送費+保険料) | 1万円以下 |
関税の種類と税率体系
簡易税率と一般税率
関税には簡易税率と一般税率という2つの税率があります。その中でも簡易税率は以下のように、一般税率を7つの税率に分類しなおしたものです。
簡易税率の適用条件
- 課税価格が20万円以下
- 特定の除外品目に該当しない
簡易税率表
商品分類 | 税率 |
---|---|
酒類 | 個別の税率 |
たばこ | 個別の税率 |
繊維製品・革製品 | 10% |
その他のもの | 5% |
従価税と従量税
関税の計算方式には主に3つの種類があります:
- 従価税:輸入貨物の価格に対してかけられ、輸送貨物の取引価格によって関税額が変わります。
- 従量税:数量や重量、容積に対してかけられます。主にガソリン、お酒、たばこの関税はこの従量税です。
- 混合税:従価税と従量税を組み合わせた方式
関税の計算方法【実例付き】
基本的な計算式
従価税の関税計算は”課税価格×関税率”です。
具体的な計算例
例1:個人輸入の場合
- アメリカから衣類を2万円で購入
- 送料:3,000円
- 保険料:500円
課税価格 = (20,000円 + 3,000円 + 500円) × 60% = 14,100円
関税率 = 10%(簡易税率)
関税額 = 14,100円 × 10% = 1,410円
例2:商業輸入の場合
- CIF価格:50万円
- 関税率:12%
関税額 = 500,000円 × 12% = 60,000円
消費税の計算
輸入消費税は、「(CIF価格+関税額+そのほか内国税額)×消費税率」で計算します。
消費税計算例
内国消費税額 = (500,000円 + 60,000円) × 7.8% = 43,680円
地方消費税額 = 43,680円 × 22/78 = 12,272円
合計消費税 = 43,680円 + 12,272円 = 55,952円
輸入ビジネスでの関税対策
関税を抑える商品選定
- 低関税率商品の選択
- 関税率0%の商品を重点的に扱う
- EPAやFTA対象商品の活用
- 免税枠の活用
- 個人輸入なら16,666円以下
- 商業輸入なら1万円以下の少額輸入
原産地証明書の活用
EPA(経済連携協定)やFTA(自由貿易協定)を活用することで、関税率を下げることが可能です。
主要なEPA・FTA
- 日EU経済連携協定
- 日米貿易協定
- CPTPP(環太平洋パートナーシップ)
関税の支払い方法と手続き
20万円以下の場合
課税総額が20万円以下の場合は、運送業者に代行してもらえますが、20万円を超える場合は自分で関税を支払うことになります。
支払い先
- 日本郵便(立替払い後、配達時に支払い)
- 民間配送会社(立替払い後、配達時に支払い)
20万円超の場合
外国から課税価格が20万円を超える郵便物が日本に到着すると、郵便物の受取人に日本郵便株式会社から通関手続の案内文書が送られます。
必要な手続き
- 輸入申告書の提出
- 仕入書等の必要書類の準備
- 関税・消費税の納付
- 通関許可後の商品受取
輸入ビジネス初心者が知っておくべき注意点
輸入禁止品目の確認
輸入禁止品目は、関税法で定められています。違反すると処罰の対象になるため、必ず確認してください。
主な輸入禁止品目
- 麻薬、向精神薬、覚醒剤
- 銃器類
- 特定化学物質
- 病原体等
法規制への対応
商品によっては特別な許可や届出が必要な場合があります:
商品カテゴリ | 必要な許可・手続き |
---|---|
食品 | 食品衛生法の届出 |
化粧品 | 薬機法の許可 |
電気製品 | PSEマークの取得 |
玩具 | STマークの取得 |
リスク管理
万が一に備えるのであれば、生産物賠償責任保険(PL保険)に加入して、消費者が受けた損害賠償責任を保障できるようにしておくと、商品が不良品だった場合に輸入者の責任を軽減することにつながります。
輸入ビジネス成功のポイント
商品選定の戦略
個人で輸入ビジネスを始める場合、規模が小さい分だけ薄利多売戦略は不利になりますから、日本で高く売れそうな商品に絞ってビジネスを始めることが肝心です。
成功する商品の特徴
- 高利益率が見込める
- 関税率が低い
- 日本での需要が高い
- 輸送コストが抑えられる
海外仕入先の選定
主要な仕入先プラットフォーム
- Alibaba(中国)
- eBay(世界各国)
- Amazon.com(アメリカ)
フォワーダーの活用
「フォワーダー」に依頼をすると、物品の運送、混載、保管、荷役、包装、配送に関する業務、通関手続きや納税の申告など、様々な業務を代行してもらえます。
よくある質問と回答
Q1: 関税はいつ支払うのですか?
輸入消費税が発生するタイミングは、保税地域から貨物を引き取る時点です。通常は配達時に運送業者に支払います。
Q2: 関税の還付は可能ですか?
輸入した商品を海外に返品する際には、すでに支払った関税の払い戻しが受けられます。ただし、特定の条件を満たす必要があります。
Q3: 為替レートはいつの時点のものが適用されますか?
外貨建て価額の円貨換算率は、輸入申告日のレートではなく、税関の公示レート(輸入申告日の週の前々週の為替相場の週間平均値)が適用されます。
まとめ
輸入ビジネスにおける関税は、コスト計算の重要な要素です。正しい知識を身につけることで:
- 正確な利益計算が可能になる
- 節税対策を講じることができる
- 法的トラブルを回避できる
- 競争力のある価格設定が実現する
輸入ビジネスを成功させるためには、関税の仕組みを理解し、適切な商品選定と手続きを行うことが不可欠です。本記事の内容を参考に、あなたの輸入ビジネスを成功に導いてください。
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