物販ビジネスを海外展開する際、海外発送の手続きは避けて通れない重要な工程です。初心者にとって複雑に思える海外発送も、正しい知識と手順を理解すれば確実に実行できます。
この記事では、物販海外発送に必要な手続きを分かりやすく解説し、配送業者の選び方から費用削減のコツまで、実践的な情報をお届けします。
海外発送の基本知識
国内発送との違い
海外発送は国内発送と比べて以下の点で大きく異なります:
- 税関申告が必要:商品の詳細を税関に申告する必要があります
- 関税・消費税:受取国で関税や税金が発生する場合があります
- 配送期間:距離や通関手続きにより1週間〜1ヶ月程度かかります
- 禁制品:国によって送れない商品があります
- 言語の壁:配送先国の言語での住所記載が必要な場合があります
発送方法の分類
海外発送の方法は大きく3つに分類されます:
発送方法 | 運営主体 | 特徴 | 適用場面 |
---|---|---|---|
国際郵便(EMS等) | 各国郵便局 | 料金が安い、20万円以下は簡易通関 | 小型・軽量商品、コスト重視 |
国際宅配便(DHL、FedEx等) | 民間企業 | 配送が早い、追跡詳細 | 緊急配送、大型商品 |
海外発送代行 | 代行業者 | 手続き全般を代行 | 業務効率化重視 |
必要書類と作成方法
基本的な必要書類
海外発送には以下の書類が必要です:
1. 税関告知書(CN22/CN23)
CN22:価格300SDR(約6万円)以下の場合
- サイズ:74×105mm
- 記載項目:品名、数量、重量、価格
CN23:価格300SDR(約6万円)超の場合
- サイズ:210×148mm
- より詳細な申告が必要
2. インボイス(Commercial Invoice)
商品の詳細情報を記載した書類で、以下の項目が必要です:
記載項目 | 内容例 |
---|---|
発送者情報 | 会社名、住所、電話番号 |
受取人情報 | 氏名、住所、電話番号 |
商品詳細 | 品名、材質、用途、原産国 |
数量・重量 | 個数、総重量、1個あたりの重量 |
価格 | 単価、合計金額(FOB価格) |
取引条件 | Gift、Commercial Sale等 |
3. 梱包明細書(Packing List)
梱包の詳細を記載した書類です:
- 梱包数
- 各梱包の内容
- 重量・寸法
- マークやナンバー
書類作成時の注意点
価格の記載
- 実際の決済金額(購入価格)を記載
- 低価格申告は違法行為です
- ギフトの場合も適正価格を記載
品名の記載
- 具体的で詳細な品名を記載
- 「Toy」ではなく「Plastic toy car for children」
- 材質や用途も明記
配送業者の比較と選び方
主要配送業者の特徴
日本郵便(EMS)
メリット
- 料金が比較的安価
- 20万円以下は簡易通関
- 世界120カ国以上に対応
- 損害補償:200万円まで
デメリット
- 配送日数が長い場合がある
- 追跡情報の更新頻度が低い
- 容積重量制限が厳しい
適用場面
- 小型・軽量商品
- コストを重視する場合
- 定期的な発送
DHL Express
メリット
- 配送スピードが早い(2-6日)
- ヨーロッパに強い
- 詳細な追跡サービス
- 通関手続き代行
デメリット
- 料金が高い
- 容積重量課金
- 個人宅配送追加料金
適用場面
- 緊急配送
- ヨーロッパ向け
- 高価値商品
FedEx
メリット
- アメリカに強い
- 早朝・夜間配送オプション
- 法人向け割引充実
- 包装材無料提供
デメリット
- 料金が高い
- 燃油サーチャージ変動
- 個人利用では割高
適用場面
- アメリカ向け
- 時間指定配送
- 大量発送
配送業者選択の判断基準
重視ポイント | 推奨業者 | 理由 |
---|---|---|
コスト重視 | EMS、船便 | 基本料金が安い |
スピード重視 | DHL、FedEx | 自社航空網で迅速配送 |
ヨーロッパ向け | DHL | 現地ネットワークが充実 |
アメリカ向け | FedEx、UPS | 現地配送網が強い |
小型商品 | EMS | 容積重量の影響が少ない |
大型商品 | 国際宅配便 | 重量制限が緩い |
料金比較の目安
以下は1kgの荷物をアメリカに送る場合の料金例です:
配送方法 | 料金目安 | 配送日数 |
---|---|---|
EMS | 3,000-4,000円 | 5-10日 |
DHL | 6,000-8,000円 | 2-4日 |
FedEx | 5,500-7,500円 | 3-5日 |
船便 | 1,500-2,500円 | 2-8週間 |
*料金は重量、サイズ、仕向地により変動します
通関手続きの流れ
輸出手続き(日本から発送)
1. 価格20万円以下の場合
- 税関申告不要
- 郵便局での税関検査のみ
- 必要書類:税関告知書、インボイス
2. 価格20万円超の場合
- 正式な輸出申告が必要
- 通関業者への委託推奨
- 必要書類:輸出申告書、インボイス、梱包明細書等
輸入手続き(受取国での処理)
受取人の負担事項
- 関税・消費税の支払い
- 必要に応じて追加書類提出
- 通関許可後の受取り
関税計算例(アメリカの場合)
商品価格:100ドル
関税率:5%
関税額:5ドル
州税等:地域により異なる
通関遅延の主な原因
原因 | 対策 |
---|---|
書類不備 | 事前チェック、詳細記載 |
価格申告ミス | 適正価格の申告 |
品名不明確 | 具体的な品名記載 |
禁制品混入 | 事前の禁制品確認 |
追加書類要求 | 受取人への迅速な連絡 |
料金体系と費用削減のコツ
料金構成要素
海外発送の料金は以下の要素で構成されます:
基本料金
- 重量料金:実重量または容積重量のいずれか大きい方
- サイズ料金:長さ、幅、高さの制限
- 地域料金:配送先による料金差
追加料金
- 燃油サーチャージ:原油価格に連動
- 遠隔地配送料:主要都市以外への配送
- 個人宅配送料:商業宛以外への配送
- 土日祝配送料:休日配送オプション
容積重量の計算方法
容積重量(kg) = (縦cm × 横cm × 高さcm) ÷ 5,000
例:30cm × 20cm × 15cm の箱
容積重量 = (30 × 20 × 15) ÷ 5,000 = 1.8kg
実重量が1kgでも、容積重量1.8kgで料金計算されます。
費用削減のコツ
1. 梱包の最適化
- 不要な空間を削減
- 軽量な梱包材を使用
- 複数商品の同梱
2. 配送方法の使い分け
- 緊急性に応じた配送方法選択
- 重量・サイズに最適な業者選択
- 船便の活用(急がない商品)
3. 法人契約の活用
- 月間発送量に応じた割引
- 年間契約による料金削減
- 複数業者との比較見積
4. 発送タイミングの調整
- 燃油サーチャージ変動の把握
- 繁忙期の回避
- まとめ発送による効率化
トラブル対応と注意点
よくあるトラブルと対策
1. 配送遅延
原因
- 通関手続きの遅れ
- 現地の祝日・ストライキ
- 天候による航空便欠航
対策
- 余裕をもった発送スケジュール
- 複数の配送ルート確保
- 受取人への事前連絡
2. 関税トラブル
原因
- 価格申告の不備
- 品名記載の不明確さ
- 必要書類の不足
対策
- 正確な価格申告
- 詳細な品名記載
- 事前の関税確認
3. 破損・紛失
原因
- 不適切な梱包
- 配送中の取り扱い
- 盗難
対策
- 十分な緩衝材使用
- 保険の付保
- 追跡サービスの活用
禁制品の確認
各国で禁止・制限されている商品例:
品目カテゴリー | 主な禁制品 |
---|---|
食品・薬品 | 肉類、乳製品、薬品、サプリメント |
植物・動物 | 生きた植物、動物、種子 |
危険物 | 化粧品(一部)、香水、バッテリー |
その他 | 現金、有価証券、著作権侵害品 |
返品・返送対応
返品時の注意点
- 返送料は通常発送者負担
- 再通関手続きが必要
- 関税の還付手続き
返品を減らす対策
- 詳細な商品説明
- サイズ・仕様の明確化
- 現地法規制の事前確認
代行サービスの活用法
海外発送代行サービスとは
海外発送代行サービスは、梱包から配送、通関手続きまでを一括して代行するサービスです。
主なサービス内容
- 在庫保管・管理
- 梱包・ラベル貼付
- 配送手配
- 通関書類作成
- 追跡情報提供
- カスタマーサポート
代行サービス活用のメリット
1. 業務効率化
- 発送業務の外部委託
- 専門知識不要
- 人件費削減
2. コスト削減
- スケールメリット活用
- 配送業者との法人契約料金
- 梱包材の一括調達
3. リスク軽減
- 通関手続きの専門対応
- トラブル時のサポート
- 保険・補償の充実
代行業者選択のポイント
確認項目 | チェックポイント |
---|---|
対応国・地域 | 販売予定国への対応可否 |
料金体系 | 基本料金、従量課金の透明性 |
サービス範囲 | 梱包、通関、カスタマーサポート |
システム連携 | ECカート、在庫管理システム連携 |
実績・信頼性 | 取引実績、口コミ・評判 |
主要な代行サービス
1. 総合型サービス
- 転送コム
- Rakuten Global Express
- BuySmartJapan
2. 特化型サービス
- eBay輸出特化
- Amazon FBA対応
- 中国向け特化
3. 物流会社系
- ヤマト運輸系
- 佐川急便系
- 日本郵便系
代行サービス利用時の注意点
契約前の確認事項
- 最低利用料金・期間
- 解約条件・ペナルティ
- 損害補償の範囲
- データ連携の可能性
運用開始後の管理
- 在庫状況の定期確認
- 配送実績の分析
- コスト効果の検証
- サービス品質の評価
まとめ
物販海外発送の手続きは複雑に見えますが、正しい知識と準備があれば確実に実行できます。
成功のポイント
- 正確な書類作成:インボイス、税関告知書の適切な記載
- 適切な配送業者選択:商品特性と予算に応じた選択
- 効率的な運用体制:代行サービス活用による業務最適化
- 継続的な改善:コスト分析と配送品質の向上
段階的な取り組み
初期段階
- 少量から始めて経験を蓄積
- EMSなど低コストな方法で試行
- 必要書類の作成方法習得
成長段階
- 配送業者との法人契約
- 複数の配送ルート確保
- 在庫管理システムの構築
拡大段階
- 海外発送代行サービス活用
- 現地倉庫の検討
- 複数国展開の最適化
物販の海外展開は大きなビジネスチャンスです。この記事の内容を参考に、計画的かつ段階的に海外発送体制を構築し、グローバルなビジネス展開を成功させてください。
適切な準備と継続的な改善により、海外発送は確実に習得可能なスキルとなり、あなたのビジネスの大きな武器になるでしょう。
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