物販ビジネスで利益が出てきたら避けて通れないのが確定申告です。フリーランスなどの個人事業主が小売業を営んでいる場合、所得48万円超で確定申告が必要です。また、会社に勤めながら副業として小売業を営んでいる場合は、確定申告が必要なる所得の基準は20万円超です。
本記事では、物販事業者の確定申告について、必要な条件から具体的な手順、経費計上のポイント、青色申告と白色申告の違いまで、初心者でもわかりやすく徹底解説します。正しい確定申告を行い、適切な節税も実現できるようになりましょう。
物販で確定申告が必要になる条件
本業として物販を行っている場合
本業としてせどりを行っている場合には、年間所得が48万円を超える方は確定申告が必要になります。これは基礎控除の金額が48万円であるためです。
年間所得 | 確定申告の要否 |
---|---|
48万円以下 | 不要(ただし青色申告者は申告推奨) |
48万円超 | 必要 |
副業として物販を行っている場合
副業としてせどりを営んでいて、年間の仕入れ費用の合計が10万円、インターネット回線料金などの必要経費が2万円、総売上(収入)が20万円だったとします。この場合、「20万円-10万円-2万円=8万円」で、8万円が所得となります。
副業の場合は年間所得が20万円を超えると確定申告が必要です。
年間所得 | 確定申告の要否 |
---|---|
20万円以下 | 不要 |
20万円超 | 必要 |
確定申告が不要なケース
所得税法で規定されている「自分や配偶者、その他の親族が生活用に使うもの」を、販売した場合、確定申告は不要となります。つまり、メルカリなどで不要になった生活用品を一時的に売却した場合は確定申告不要です。
ただし、以下の場合は課税対象となります:
- 営利目的で継続的に生活用動産を売買した場合
- 1個または1組の価額が30万円を超える生活用動産を売買した場合
確定申告の基本知識
確定申告とは
確定申告とは、1年間(1月1日から12月31日まで)の所得に対して納めるべき税金を計算し、税務署に申告する手続きのことを指します。通常、翌年の2月16日から3月15日までの間に申告を行います。
確定申告の目的
確定申告の目的は、個人や事業主が1年間に得た収入や経費を報告し、所得税や住民税などの税額を確定させることです。正確な申告により、適正な税額を納めることができます。
所得の計算方法
物販における所得は以下の式で計算します:
所得 = 売上 – 売上原価 – 必要経費
- 売上:商品を販売して得た収入
- 売上原価:実際に販売した商品の仕入れ代金
- 必要経費:事業に直接関係する費用
青色申告と白色申告の違い
基本的な違い
確定申告には、白色申告と青色申告の2種類があり、それぞれ手続きや書類の扱いが異なります。
項目 | 青色申告 | 白色申告 |
---|---|---|
事前申請 | 必要 | 不要 |
帳簿の方法 | 複式簿記または簡易簿記 | 簡易簿記のみ |
特別控除 | 最大65万円 | なし |
赤字の繰越 | 3年間可能 | 不可 |
家事按分 | 事業割合に応じて可能 | 50%超の事業使用が必要 |
青色申告のメリット
- 青色申告特別控除 「青色申告」は最大65万円の特別控除を受けられます。65万円の控除を受けられるのは、正規の簿記の原則に則った帳簿を準備し、e-Tax(国税電子申告・納税システム)で申告した場合です。
- 赤字の繰越控除 青色申告では、事業の損失(赤字)を3年間にわたり所得から控除することができます。
- 30万円未満の少額減価償却資産の特例 青色申告を行っている場合には、30万円未満の資産について一括経費として計上することも可能です。
- 家事按分の有利な取り扱い 青色申告の場合は、事業に使用している割合が50%以下であっても按分して計上することが可能です。
白色申告のメリット
- 手続きが簡単 白色申告は申告にあたっての事前の申請や難解な簿記が不要であることから、青色申告と比べて簡単に行える申告方法といえます。
- 記帳が簡易 白色申告では簡易簿記(単式簿記)での記帳が認められています。簡易簿記(単式簿記)は、複式簿記よりも記入する項目数が少なく、会計知識がなくても記帳が可能です。
どちらを選ぶべきか
事業での収入に黒字が見込めるのであれば、「青色申告」がいいといえます。なぜなら、65万円の特別控除を受けられるからです。年間の所得が65万円以上見込める場合は、青色申告を選択することを強く推奨します。
物販で計上できる経費一覧
主要な経費項目
ECサイト運営を含む小売業で、経費として認められる主な支出項目には以下があります:
経費の種類 | 具体例 | 勘定科目 |
---|---|---|
仕入費用 | 商品の購入代金 | 仕入高 |
送料・配送費 | 配送業者への支払い | 運賃 |
手数料 | プラットフォーム手数料、決済手数料 | 支払手数料 |
梱包材費 | ダンボール、緩衝材、テープ類 | 消耗品費 |
交通費 | 仕入れ先への移動費、郵便局への移動費 | 旅費交通費 |
通信費 | インターネット料金、携帯電話料金 | 通信費 |
広告宣伝費 | Amazon広告、Google広告 | 広告宣伝費 |
研修費 | セミナー参加費、書籍代 | 研修費 |
交際費 | 仕入先との懇親会費用 | 交際費 |
家事按分が必要な経費
自宅で作業している場合は、以下の費用を家事按分できます:
自宅を事務所として利用している方であれば、家賃や電気代、インターネット料金などの一部を必要経費として計上できます。
費用項目 | 按分方法の例 |
---|---|
家賃 | 作業スペースの面積割合 |
水道光熱費 | 使用時間または面積割合 |
通信費 | 事業使用時間の割合 |
火災保険料 | 作業スペースの面積割合 |
経費計上時の注意点
- 領収書の保管 領収書では日付と金額は分かりますが、何のために使われたのか、どういった理由で使用されたのかが不明なため、経費計上できない場合があります。何に使ったかを忘れてしまわないうちに必ず理由を記入しておきましょう。
- 出金伝票の活用 電車代や香典など領収書がもらえない支出については、出金伝票に「日付」「理由」「金額」を記載して保管しましょう。
確定申告の具体的な手順
STEP 1:必要書類の準備
確定申告に必要な書類を整理します:
収入関係
- 売上データ(プラットフォームからのダウンロード等)
- 支払調書(あれば)
支出関係
- 仕入れの領収書・請求書
- 経費の領収書・レシート
- クレジットカードの明細書
その他
- 銀行口座の通帳
- 源泉徴収票(副業の場合)
STEP 2:帳簿の作成
事業所得の場合は、帳簿付けと保存が義務づけられています。しかも確定申告で必要な所得を計算するたには、売上と経費などを正確に把握する必要があります。
主要な帳簿:
- 売上帳
- 仕入帳
- 経費帳
- 現金出納帳
- 預金出納帳
STEP 3:決算書の作成
青色申告の場合
- 青色申告決算書(貸借対照表・損益計算書)
白色申告の場合
- 収支内訳書
STEP 4:確定申告書の作成
確定申告書は手書き以外にも、国税庁ホームページの確定申告書作成コーナーや会計ソフトの利用などでも作成が可能です。
STEP 5:申告書の提出
確定申告書の提出期間は、売上が発生した翌年の2月16日から3月15日までです。
提出方法:
- 税務署への持参
- 郵送
- e-Tax(電子申告)
帳簿の付け方とポイント
基本的な記帳方法
記帳する内容 売上げなどの収入金額、仕入れや経費に関する事項について、取引の年月日、売上先・仕入先その他の相手方の名称、金額、日々の売上げ・仕入れ・経費の金額等を帳簿に記載します。
売上の記帳
売上は商品が売れた日に記帳します:
3月15日 売上 ○○商店 商品A 5,000円
仕入の記帳
仕入れとは、「販売目的で商品や原材料を購入すること」です。仕入れで物品を購入した場合、会計帳簿では「仕入高」「商品」などの勘定科目を用いて仕訳を行います。
経費の記帳
経費帳は仕入以外に支払った家賃、水道光熱費、税金、交通費などを記帳する帳簿です。記帳前に科目を分類、整理する必要があります。
帳簿保存の義務
利益や税金を計算するためには、商品の棚卸金額を求めることが重要です。それとともに、棚卸商品の明細が記載された棚卸表を作成し、青色申告では7年間、白色申告でも5年間保存する必要があります。
確定申告を怠った場合のペナルティ
無申告加算税
確定申告は例年2月16日から3月15日までに行わなければいけません。期間内に申告しない、期間を知りながら申告しないといった場合、無申告加算税が課せられます。
無申告加算税は、50万円までは15%、50万円以上は20%を納付すべき税額に乗じた金額です。
重加算税
帳簿を付けていないと「納税額が正しくない」と税務署から指摘を受けて、本来払えばいいはずの金額よりも多くの額を納めなければなりません(重加算税)。
延滞税
確定申告期限後に納税した場合、延滞税も加算される可能性があります。
よくある質問と回答
Q1. 物販の副業はバレる?
副業として転売をする場合は、転売で得た所得に応じて納める住民税が増えます。そのため、住民税の金額から会社に副業がバレてしまう可能性が高いです。
ただし、確定申告の際に確定申告書第二表の「住民税に関する事項」にある「給与所得・公的年金等に係る所得以外の住民税の徴収方法の選択」欄の「自分で納付(普通徴収)」にチェックをすることで、バレるリスクを軽減できます。
Q2. 会計ソフトは必要?
確定申告については、税理士にお願いする方法と、青色申告会を利用する方法、会計ソフトを使いながら自分で行う方法に分けられます。
年商500万円以下であれば、会計ソフトを使って自分で行うことも十分可能です。
Q3. 青色申告の申請はいつまで?
新たに副業を開始したり事業を起こしたりした場合は、『業務を開始した日から2カ月以内』に申請書や開業届を税務署に提出することで、その年の分の確定申告から『青色申告』を行えます。
Q4. 在庫はどう処理する?
個人事業主にとって売上や経費、キャッシュと同じように、重要なのが在庫です。在庫の数で税金の金額まで変わります。
年末時点での在庫は資産として計上し、売上原価から除外する必要があります。
Q5. 確定申告はいつから準備すべき?
確定申告の準備は遅くとも1月から始めることをおすすめします。特に初回の方は、帳簿の整理や必要書類の収集に時間がかかるため、早めの準備が重要です。
まとめ
物販ビジネスにおける確定申告は、適切な知識と準備があれば決して難しいものではありません。重要なポイントをまとめると:
確定申告が必要な条件を把握
- 本業:年間所得48万円超
- 副業:年間所得20万円超
青色申告を積極的に検討
- 最大65万円の特別控除
- 赤字の3年間繰越
- 30万円未満の資産の一括償却
日頃からの帳簿管理が重要
- 領収書の整理と保管
- 定期的な帳簿記入
- 経費項目の正確な分類
期限を守って申告
- 申告期間:2月16日〜3月15日
- 青色申告の事前申請も忘れずに
正しい確定申告により、適正な納税と効果的な節税を両立させ、物販ビジネスの成長につなげていきましょう。初心者の方も、この記事を参考に一歩ずつ進めていけば、必ず確定申告をマスターできるはずです。
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